もしもクローン人間が作れるとしたら 僕をよみがえらせてもらえる?

もしもクローン人間が作れるとしたら 僕をよみがえらせてもらえる?

もしもクローン人間が作れるとしたら 僕をよみがえらせてもらえる?

一年にこのオレンジのファイルを必ず開く時がある。
年に2回の健康診断の時だ。

今回も妻に言う。

「過去2年の結果は・・・良好。」
今回も、たぶん大丈夫。
うん、きっと、おそらく大丈夫だと思う・・・。」

昨日まで連日の接待続き。
疲れているせいか、どこか悪いのではないかという
根拠のない不安もある。

接待をただの飲み会と勘違いしている妻がいう。

「また飲んできたの?
そんなに毎日飲んできたら、体どうなっても知らないよ・・・。」

昨日までの接待やサービス残業の努力が、
妻と子供の生活を支えていることを、妻は知らない。

「いいんだよ。なった時はなった時さ。
そんなに長く生きたいとも思ってないしさ。」

あいまいに返事をしながら、ファイルを開く。

「これ見てよ。僕の遺産。
ちゃんとハル(子供)の分もあるよ。
学資から相続税対策もバッチリさ」

あきれる妻をよそ目に、僕もつぶやく。

「もし、僕が死んだら6000万円・・・。大金でしょ?」

「もし医療技術がすすんで、
クローン人間がその6000万円で作れるとしたら、
僕はよみがえらせてもらえる?」

「あ。入院したら1日2万円も・・・。軽く病気にならないかな?
給料よりもらえるかも?休めるし。」

あきれた顔の妻は、こう返す。

「もしあなたに何かあったら、私たちはどうなるの?
本気で考えたことある?」

実際、ハルが生まれた時はかなり真剣に考えた。
それまで保険に興味はなかったが、
ハルの寝顔を見ていたら、適当にはできなかった。

相談員さんにも、恥ずかしかったが堂々と想いを伝えた。

保険料もちょっときついが・・・。
かなりきついが、毎月きちんと支払っている。

家族への想いが、目に見える形で確かにここにある。
ちょっとうれしい。

次の日、玄関で妻に言われた。

「弁当持った?水筒持った?
・・・保険持った?」

苦笑いする僕に、妻が言った。

「・・・事故、しないでね・・・。」




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