俺に万が一のことがあったらさ・・・

俺に万が一のことがあったらさ・・・

俺に万が一のことがあったらさ・・・

長男が生まれてすぐに、
夫と近くの保険ほっとラインに行き、夫婦で保険に加入した。

夫婦お互いのことや子どもの将来のことなど
真剣に考えて加入した。

きちんとファイルの話を聞いて、
自分たちの保障をそれぞれの両親にも預けておいた。

そのときは、この保険を使うことなど、考えてもいなかった。

あれから13年。
夫が健康診断で指摘を受けた。
肝臓がんだった。

入退院を繰り返し、夫は1年後にこの世を去った。

1年間の闘病生活で、自分自身も看病に疲れ、
悲しいけれど、どこかほっとしたところもあった。

お葬式やいろんな整理することで、
とにかくバタバタと時間が過ぎた。

悲しむひまも無かった。

私は実家に帰り、今後の生活のことを考えていた。
母が「そういえば・・・」ときちんとファイルを持ってきた。

夫のきちんとファイルを開いた。

長男が生まれたときに夫婦で加入しようとしたのは、
月額10万円の収入保障の保険。

でも入ってあったのは、月額11万円の収入保障の保険だった。

私に伝えてほしいと、メモが書いてあった。

「俺に万が一のことがあっても、月に一度は、息子とおいしいものでも食べてくれ」

涙があふれて止まらなかった。




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