10年遅れた「ありがとう」

10年遅れた「ありがとう」

10年遅れた「ありがとう」

私が大学進学の為に実家を出る時、
両親は2つのお守りを持たせてくれた。

一つは本物の「お守り」
一つは「オレンジ色のファイル」だ。

両親の間に遅くできた一人息子で、
自他共に認めるほどの過保護な家庭で育った私は、
特に何も感じることもなく、
将来への希望と不安、自分の事しか考えていなかった。

それから10年・・・。
いつの間にか、お守りやファイルのことは忘れていた・・・。

私も大人になり、結婚し、長男が生まれたとき、
妻と二人でこの子の将来について夢を語った。

サッカー選手だパイロットだと、いろいろ考えたが、
やりたいことをやらせてあげたいという話になった。

「僕も父親になったから、保険を見直そうか?」
自分でハっとした。
父から渡されたファイルを引き出してきた。

「きちんとファイル」という名のファイル。
中を見ると両親の保険だった。
受取人の欄に書いてある私の名前に想いを感じた。

両親の
「自分たちに万が一があっても、お前はお前の道を歩みなさい」
という想いを。

10年も遅れて、やっと「ありがとう」を伝えた私に対して父は

「お前もその気持ちが分かるようになったか。
これまで無事に育ってくれてありがとう。」

と言ってくれた。

私も長男に「ありがとう」を言われる日、
そして「ありがとう」を言える日を願い、

「きちんとファイル」をそっと閉じた。




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