そんな父だからこそ 母はずっと連れ添ってきたのだ
私には亭主関白の父がいました。
度が過ぎるほどだったので、何年も母は辛い想いをしていただろう。
「何故離婚しないのだろうか」
「そんな想いまでして一緒にいたいのかな」
そんな風に見ていました。
ある日、辛い想いをしている母を見ていた私は、
とうとう我慢できなくなり、父と大喧嘩。
そのまま家を飛び出してしまいました。
そのまま家に戻ることはなく、ながい月日が経ち・・・。
父が亡くなった。
母からの急な知らせ。
・・・家を出たきり、一度も顔を合わすことなく、
父は亡くなってしまいました。
結局、家を出てから20年以上の月日が経っていました。
「お父さんが、あなたのために残してくれていたものがあるのよ」
母はそう言うと、一冊のオレンジ色のファイルを差し出した。
「それはあなたの為にずっとかけてきた保険を、
お父さんがまとめてくれていたものなのよ。
本当は直接渡したかったんじゃないかな・・・。」
開くとそこには、父が私と母のために残してくれた
想いが詰まった一覧があった。
「ごめんなさい・・・。ありがとう・・・。」
父はそういう人だったのだ。
だから母はずっと、父と連れ添っていたのだ。
亡くなった父と、きちんと話をしておけば良かった。
そんな後悔と同時に、本当は家族を想っていた父が嬉しかった。