そうだったんだ だから父さんはこのファイルを・・・

そうだったんだ だから父さんはこのファイルを・・・

そうだったんだ だから父さんはこのファイルを・・・

「亡くなった父からの手紙」

それを初めて読んだのは、私が社会人になる時だった。
母が大切に抱えてきたのは、
その手紙とオレンジ色のファイル。

「それは何?」
私がオレンジのファイルを指差すと、母は一言。

「お父さんから・・・
手紙には書ききれなかった、あんたへの想いが
たくさん詰まったファイルよ。大切にしてね」

「どういうこと?」
そう言いたげな私の顔を見て、母は笑顔で一言。

「いずれ分かるわよ」

それから10年。
父が亡くなったときの年齢と同じ歳になった自分。
妻と子と3人で幸せに暮らす日々。

最近ふと考える。

「この子はどんなことに興味を持つのだろう。
どんな大人になるのだろう。
どんな人と結婚して、どんな家庭を築くのだろう。」

楽しみがいっぱいだ。
そんな想いを抱きつつ、別の想いも頭をよぎる。

「この子のそばに、いつまでいられるのかな?」
「この子のことを、いつまで守れるのかな?」

・・・

そうだったんだ。
だから父さんはこのファイルを・・・。
ありがとう。父さん。

私は今、家族でサービスショップへ向かっている。
やっと気づけた父の想いと、私の想いを胸に・・・




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