「小さい娘の花嫁姿を見に行きたいしな」
父親のいない6歳の娘にとって、
おじいちゃんがお父さん代わり。
今日は、そのおじいちゃんと二人で
遊園地に行ってきた。
「おかえり」と私が声をかけると、
父は「これ、渡しとく」と言いながら、
写真の束と、オレンジ色のファイルを手渡した。
写真をパラパラ見ていると、
1枚の写真に目がとまった。
ちょうど遊園地に行った日は七夕で、
娘が笹の葉に短冊を取り付けている様子。
どうやら二人でお願いごとを書いたらしい。
写真に写った短冊をよく見ると、
「じいちゃん、タバコやめます」と、
拙い字で一生懸命書いてあった。
その横には大人の字で、
「みいちゃんが幸せになれるように」と。
そしてその横には、少し小さな字で、
「じいちゃん頑張る」と書いてあった。
ファイルには「きちんとファイル」とある。
「小さい娘の花嫁姿を見に行きたいしな。」
照れくさそうにつぶやいた。