子どものころ 一緒に行った河原 もう祖母はいない
祖母から久しぶりの連絡。
私は小さい頃両親を交通事故で亡くし、
祖母に育てられた。
小学生までは、どこへ行くのも一緒。
あまり裕福ではなかったので、
弁当をもって一緒に河原へ行ったり、
祖母の病院について行ったり、
すごく仲が良かった。
でも社会人になり、実家を離れて
祖母に会うのは年一回あるかどうか。
たまに帰っても、ごはんを食べて、
テレビを見て過ごす。
仕事が忙しかったこともあり、
渡したいものがあるって言われて、
どうせいつものお菓子か何かだろうと思い、
私は帰らなかった。
半年後、祖母は亡くなった。
昔から腰痛を患っていたが、
検査でがんと告知され、手遅れの状態だった。
お葬式の日、叔母から紙袋を渡された。
中には、祖母がよく持たせてくれたお菓子と
「きちんとファイル」だった。
おそらくこれをつくってくれた人の
メモが貼ってある。
「一番大切な人に、渡してください」と。