・・・お父さんが一番家族想いやったんやな

・・・お父さんが一番家族想いやったんやな

・・・お父さんが一番家族想いやったんやな

「わしに何かあったらおかんの事頼むぞ」
私のお父さんの口癖。

でも本人はお母さんから
「またこんなに脱ぎ散らかして!」
「もう!食べた後の食器ぐらい流しにいれといてぇな!ほんまおっきい子供やなぁ!」
って言われてる。
ほんまに少年が大きくなったような感じ。

そんな少年のお父さんが他愛のない話をしている途中、
急に真剣な顔で、席を立とうとした私を呼び止めた。

「大事な話があんねん。ちょっとええか。」
何事だろう。もしかして病気になったとか?
「わしに何かあったらおかんの事頼むぞ。」
あ・・・またいつものや。

そう思ったから
「もーお父さんまたぁ?何かなんかまだまだないって。
めっちゃ元気やんお父さん。」

「いや、お前も結婚して、子供ができて、わしもお爺ちゃんになったんや。
せやからきちんとせなあかんことがあってな。」
ゴソゴソと取り出して私に見せてきたのは「きちんとファイル。」

「これ何なん?」
「わしに何かあったとき、家捜しせんでもええようにきちんとまとめてきたんや。」
偉いやろとドヤ顔で言うお父さん。

中を見てみると、お父さんが入ってる保険が解るようにしてあった。
「それ、お前に持っといて欲しいんや。わしに何かあったとき、
一番近いんはお前やから。せやから渡しとく。」

「他の家族の分は?」
「心配すな。おかんのも、兄弟のんも皆やっといたから。」
偉いやろとまたドヤ顔。

いっつもあほな事ばっかり言うて、皆大丈夫か心配してたけど、
お父さんが一番家族想いやったんやな。

ありがとう。お父さん。




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