だいじょうぶ ボクがおかあさんをまもるよ

だいじょうぶ ボクがおかあさんをまもるよ

だいじょうぶ ボクがおかあさんをまもるよ

「男の子なんだから、母さんはお前が守るんだぞ。」

ボクの父さんは船乗りで、何ヶ月も家を空ける事が多い。
物心ついた頃からボクは父さんにそう言い聞かされていた。

「だいじょうぶ。ボクがおかあさんをまもるよ。」

それから10年以上経ち、
そんな昔の話なんて忘れかけていたある日
珍しく母から電話があった。

「父さんがね・・・。」
とても動揺している様だった。

何がなんだかわからないまま、実家に戻った。
父の乗っている船と連絡がとれない。

最悪の事態が頭をよぎる。
と同時に、昔の父との約束を思い出した。

「オレに何かあった時はここの引き出しを開けるんだぞ。」

ここってどこだよ。
思春期で父のことがうっとおしくてまともに聞いてなかった。

思い出せ・・・。思い出せ・・・。
全神経を集中させて思い出した場所。

そこにあったのは、オレンジ色のきちんとファイルだった。

開くと、何枚ものリストが入っていた。
結婚した年、ボクが産まれた年、そして去年のものも何枚か入っていた。
最初のリストは、黄色く色あせていた。

「たのんだぞ・・・。」
そういわれた気がして、手が震えた。

その翌々日、父は無事に戻ってきた。
船の無線の故障だったらしい。

母は泣きながら、めちゃめちゃ怒っていた。
ボクは心配なんかするかよと言ってみた。

来年ボクは、最初に父がファイルを作った歳になる。




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