私は本当に祖父に愛されていたんだな・・・
昔から物静かで、几帳面な祖父だった。
三世帯で生活していたので、私は幼い頃から
祖父に手を引かれて公園に連れて行って貰うのが好きだった。
そんな祖父が突然亡くなったのは去年のこと。
自転車事故だった。
東京で一人暮らしをしていた私はすぐに帰省した。
祖父の葬儀が落ち着き家族で遺品を整理していると、
遺言書と一緒にオレンジ色のファイルが。
ファイルの中には祖父の保障内容の一覧が書かれていた。
家族の誰も知らなかった。
悲しみにくれる母に代わり、
私がファイルに載っていたお店を訪ねた。
対応してくれたお店の方は、一番初めに祖父の対応をした方だった。
「生前、おじいさまは『最近自転車事故が多いから心配だし、
子どもや孫には迷惑をかけられないからいろいろ準備しておきたい。』
とおっしゃってました。」
最近は離れて暮らしてるから、
あまり話もしていなかった祖父の想いを知ったとき涙が流れた。
オレンジ色のファイルは、
几帳面な父の想いを、きちんと形にしてくれていた。
私は本当に祖父に愛されていたんだな・・・。
祖父の愛への感謝と、
亡くなったあとにそれに気付いた後悔に、私は涙した。