こうして笑い合えるのは 大切に想い合ってるからなんだろうな
「お盆、帰ってくるのか?」
80歳になる父からの電話を受けて、今年は帰省することにした。
いざ帰ると決まると今度は母から、
「何泊できるの?何が食べたい?何時の電車?」
はしゃいでる2人の様子が嬉しかった。
食べきれないほど食卓に並んだ料理に、
もう何度も聞かされている父の仕事話に相槌をうつ。
「あんた○○さん家のおばさん知ってたっけ?」
から始まる、母のご近所スクープ。
そして最近の出来事は夫婦でスマホに買い換えたこと。
店の人に言われて、とうとうスマホデビュー。
だけどやっぱり通話にしか使ってないらしい。
私は得意気に前の携帯との違いや、
もっとこんな使い方もできるんだと語った。
「そんな事も知らずにスマホにしたのか。」
と笑った。
「それとお墓も買ったのよ。」
と言い出した。そっちの方がすごい。
夫婦で入る墓らしい。
「これであんたに迷惑かけずに済むでしょう?」
「へぇ~」
私は少し感心した。
「あ、そうそう。一番大切なもの忘れてた。
はい、これ。きちんとファイル。」
「え?お寺が保険もやってるの?」
「違うわよ。それはきちんと倶楽部がやってるのよ。
そんな事も知らないの?
しっかりしてよって子どもたちに言われるわよ。」
父と母が笑った。
私たちがこうして笑い合えるのは、
深い深い根っ子の部分で、大切に想い合ってるからなんだろうな。
お盆の見慣れた実家の光景の前で
ふとそんな大切なことに気がついた。