おやじの想い・・・きちんと受け取ったからな

おやじの想い・・・きちんと受け取ったからな

おやじの想い・・・きちんと受け取ったからな

その日は突然やってきた。

飛行機を乗り継いで、病院にたどり着いた時には、
もう父はこの世を去っていた。

何故か、涙は出なかった。

病院で父のなきがらと対面したときも、
「おやじの顔見るのって、何年ぶりだっけ」
なんて考えながら。

葬儀の時も、出棺の時も、僕は冷静だった。

「もっとちゃんと色々話しとけば良かったかなぁ」

って思ったけれど、
九州男児が大抵そうなように、父も無口だったから、
話らしい話をした記憶も無いのだった。

翌日。

「何日も会社休めないから」
母を促して、遺品整理に取り掛かった。

といっても、遺品らしいものといえば、少しの衣類と
年季の入った段ボール箱がひとつ。

タクシー運転手として生涯を終えた父は、
割の良い深夜業務をこなすため、無理をしていたっけ。

そのせいで体を壊し、早期退職することになって。

「これからってところだったのにさ。
そもそもおやじの趣味すら知らないよ。」

そう心の名までつぶやいた時、
ふと気配を感じて振り返ると、母が肩を震わせていた。

「どうした?」

見ると母の手には、オレンジ色のファイル。
表紙には「きちんとファイル」と書かれている。

受取人には母と僕の名前。

その時、はじめて涙があふれた。

「おやじの想い、きちんと受け取ったからな」

そう遺影に語りかけた。




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