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カテゴリ:基礎知識

がん保険は本当に必要?いらないといわれる理由や年代別の必要性を解説

基礎知識

がんは多くの日本人にとって身近な病気であり、その治療には多大な経済的負担が伴います。公的医療保険による高額療養費制度はありますが、入院中の雑費や差額ベッド代、自由診療や先進医療を利用した場合の費用、休職による収入減少などの負担も考えられます。こうした負担を自己資金でまかなうことが難しい場合、がん保険の必要性が高まるといえます。

また、公益財団法人生命保険文化センターが調査した、「生活保障に関する調査(2022年度)」によると、がん保険・がん特約の加入率は39.1%となっており、性別・年齢別にみると、男女とも40歳代の加入率が最も高い結果になっています

本記事では、がん保険の必要性や保障内容、加入のメリットなどについて詳しく解説します。年齢別のがん保険の必要性についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

出典:公益財団法人 生命保険文化センター「2022年度 生活保障に関する調査

がん保険は本当に必要?

がん保険の必要性

がんは、現代の日本において非常に身近な病気であり、治療には精神的・身体的負担に加え、経済的な負担が大きくのしかかります。公的医療保険制度がある日本でも、がん治療には保険適用外の費用が発生する場合が多く、がん保険の必要性を高める大きな理由になっています

例えば、先進医療を用いた治療は全額自己負担になり、数百万単位の費用がかかることも珍しくありません。貯蓄だけでは、長期にわたる通院治療費や交通費、ベッド代、治療に伴う休職の収入減などをカバーしきれない可能性があります。

がん保険の診断給付金保障に加入していれば、治療開始時にまとまった費用を受け取れるため、治療の選択肢を広げられます。その他にも、さまざまな特約を付加することで、抗がん剤治療や放射線治療、緩和ケア費用への備えなど、個々のニーズに合わせた保障を準備することが可能です。

がん保険がいらないといわれる理由

がん保険がいらないといわれる理由

がん保険は手厚い保障を受けられる一方で、「がん保険はいらない」という意見を耳にすることもあります。そのようにいわれる背景には、公的医療保険制度の充実やがん治療の進化、保険商品の多様化など、さまざまな要因が関係しています。

ここからは、がん保険がいらないといわれる理由について詳しく解説します。

若いうちはがんのリスクが低い

がん保険はいらないといわれる理由の一つに、若い世代はがんの発症リスクが低いことが挙げられます。がんの発症率は年齢とともに上昇する傾向にあり、20代や30代といった若い時期にがんを経験する割合は、全年齢層と比較すると少数です。

国立がん研究センターのデータを見ても、がんは50代以降で罹患率が急激に高まります。

がんに罹患する確率~年齢階級別 累積罹患リスク~

がんに罹患する確率

出典:国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計 全がん
資料:国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」「がんに罹患する確率~累積罹患リスク(2021年データに基づく)~」をもとに作成

この結果から、「若いうちから高額な保険料を支払ってがん保険に加入する必要はない」「がん保険の費用を貯蓄や投資に回した方が合理的」といった意見が挙げられています。

年齢が若いうちは、もしもの事態に備えるよりも、目先の生活費や将来の資産形成を優先したいと考えるひとが一定数いるのです。

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高額療養費制度がある

日本の公的医療保険制度である高額療養費制度を利用できることで、保険料をまかなえるといった意見もあります。この制度は、医療機関で支払う費用が、ひと月で自己負担限度額を超えた場合、その超えた分が払い戻される仕組みです。

自己負担限度額は、加入者の年齢や所得によって決められており、仮に月の医療費が100万円かかったとしても、窓口での支払いは約数万円程度に抑えられます

高額療養費制度があることで、経済的な不安が大きく軽減されるため、あえてがん保険に加入する必要性を感じないひとも少なくありません。

貯蓄があれば治療費をまかなえる

がん保険はいらないと考える理由に、十分な貯蓄があれば、治療にかかる費用を自己資金でまかなえるという意見もあります。日頃から十分な貯蓄をしていれば、いざという時にこれらの費用を問題なく支払うことが可能です。

高額療養費制度で自己負担額が抑えられるとはいえ、通院のための交通費や入院中のベッド代、食事代、先進医療にかかる費用など、貯蓄でまかなわなければいけない場面も多く発生します

経済的に余裕のあるひとや将来に備えて資産形成をしているひとは、保険料を支払うよりも貯蓄などに回した方が、合理的だと判断する傾向があります。

保障内容が限定的かつ複雑

保障内容ががんに限定されるうえに、内容が複雑であることで、がん保険が不要というひともいます。多くのがん保険は、診断給付金や入院給付金、手術給付金など、がんに関連する事象に対してのみ保障を提供しています

また、特約の種類が多く、それぞれに細かな条件や制約があるため、保障内容を完全に理解するのが難しく感じるひとも少なくありません。

自分ががんにかかった際に何がどこまで保障されるのかわかりづらく、必要な時に必要な給付が受けられないなどの不満が、がん保険の加入をためらわせる要因になっています。

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がん保険の保障内容

がん保険の保障内容

がん保険の保障内容は多岐にわたり、保険会社や商品によって細かな違いがあります。

がん保険の主な保障内容は、以下になります。

  • 診断給付金
  • 入院給付金
  • 通院給付金
  • 手術給付金
  • 抗がん剤治療給付金
  • 放射線治療給付金
  • 先進医療特約 など

がん保険のなかで最も基本的なのが、がんと診断された際に一時金として支払われる診断給付金です。この保険は、治療の初期費用や生活費の補填など、幅広い用途で使えるため、とくに重要な給付といえます。

つぎに、がんによる入院日数に応じて支払われる入院給付金があります。近年はがんにおいても通院治療が増えているため、入院給付金と通院給付金がセットになっている商品や、通院治療に特化した商品も増えています。

その他にも、手術を受けた際に給付を受けられる手術給付金や、抗がん剤治療を受けた際に支払われる放射線治療給付金なども主要な保障です。

また、基本となる給付金に加えて、がん治療の緩和ケアやセカンドオピニオンの利用、女性特有のがんに特化した給付金など、利用者のニーズに応じてさまざまな特約を付加できます。

給付金の種類や特約を選ぶ際は、商品ごとの特徴をよく確認し、自身のライフスタイルに合ったものを選ぶことが大切です。

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がん保険が必要なひと

がん保険はいらないという意見がある一方で、がん保険が必要なひとも多くいます。がん治療は、医療の進歩によって治療方法や商品が多様化しているので、自身に合った保険選びができれば、将来の不安を取り除くことが可能です。

ここからは、がん保険が必要なひとの特徴について詳しく解説します。

貯蓄だけで治療費を負担するのが不安なひと

がんの治療費を、貯蓄だけでまかなうことに不安を感じるひとは、がん保険に加入しておくと安心です。高額療養費制度を利用したとしても、自己負担額がゼロになるわけではなく、入院中のベッド代や交通費、治療による収入減などは自身で負担する必要があります。

十分な貯蓄があったとしても、がんの治療が長期化したり、再発したりした場合は、貯蓄が尽きてしまうリスクもゼロではありません

貯蓄を取り崩す負担を軽減し、治療に専念できる環境を整えたいひとにとっては、がん保険が心強い味方になるでしょう。

先進医療を考えているひと

先進医療を用いた治療を選択肢に入れているひとは、治療費を抑えるうえで、がん保険の必要性は高いといえます。先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度な医療で、公的医療保険の適用外になるため、治療にかかる費用は全額自己負担です。

例えば、陽子線治療や重粒子線治療などの放射線治療は、一定の有効性がある反面、費用は数百万円単位になることも少なくありません。

がん保険に付帯できる先進医療特約は、高額な治療費技術料をカバーしてくれるため、経済的な不安なく最先端の医療を受けるために役立つでしょう。

自営業者やフリーランスのひと

自営業者やフリーランスのひとは、会社員よりも公的なセーフティネットが少ないため、がん保険に加入した方が安心を得られる可能性が高まります。会社員が病気で休職した場合、傷病手当金や福利厚生制度によって一定期間の収入が保障されますが、自営業者やフリーランスの場合は収入が途絶えるリスクがあります

自営業者やフリーランスのひとも利用できる、高額療養費制度もありますが、あくまで医療費の自己負担を軽減する制度なので、生活費や事業の維持費用まではカバーできません。

がん保険の診断給付金や入院・通院給付金制度を利用すれば、治療中の生活費や事業の運転資金を補填でき、大きな安心材料になります。

がん保険に加入するメリット

がん保険に加入するメリット

がん保険に加入することで、治療費や治療中の生活費の補填、社会復帰のサポートなど、さまざまなメリットがあります。

ここからは、がん保険に加入するメリットについて詳しく解説していきます。

経済的な不安を大幅に軽減できる

がん保険に加入する最大のメリットに、がん罹患時の経済的な不安を大幅に軽減できる点が挙げられます。高額療養費制度を利用しても、先進医療のような公的医療保険の適用外治療や入院中のベッド代、交通費など、医療費以外にも経済的な負担が発生します。

がん保険から支払われる診断給付金や治療給付金は、これらの高額な費用をカバーすることが可能です。

とくに、がんと診断された際のまとまった一時金をカバーできることで、精神的・金銭的な不安を軽減できます。

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がんに特化した保障が充実している

がんに特化した充実した保障が受けられる点も、がん保険に加入する大きなメリットです。一般的な医療保険でも、病気やケガによる入院や手術は保障されますが、がんに特化した保障や特約は用意されていません

がんと診断された時の一時金や治療が長期化しやすい抗がん剤治療、放射線治療など、がん特有の治療を手厚く備えられるのは強みです。

治療だけではなく、退院後の通院や緩和ケアなど、きめ細やかな保障が用意されている点も大きなメリットです。

高度ながん治療も選択肢にできる

がん保険に加入することで、公的医療保険の適用外となるケースが多い先進医療も、治療の選択肢に入れられます。がん保険に加入せず先進医療を受ける場合は、貯蓄を取り崩して自分で高額な費用を用意する必要があるため、治療自体を諦めてしまうケースも少なくありません。

がん保険は、高額な治療費を保険金でカバーできるため、金銭的な理由で治療の選択肢を狭めることなく、自身に適した治療方法を選択できます

高度ながん治療も選択肢にできることで、早期回復への可能性を高めることにも繋がるでしょう。

がん保険の加入時に気をつけること

がん保険は、万が一のときに経済的なサポートをしてくれる制度ですが、注意するべき項目を把握しておかないと、加入後の後悔につながる可能性があります。

ここからは、がん保険の加入時に気をつけることについて詳しく解説します。

がん以外は保障対象にならない

がん保険は、がんに特化した保険であり、保障の範囲はがんと診断された場合や治療を受けた場合に限定されます。がん以外の病気やケガ、生活習慣病などで治療が必要になったとしても、がん保険から給付金は支払われません

そのため、がん以外の備えが必要な場合は、医療保険や生命保険など、他の種類の保険も検討する必要があります。

がん保険だけでは、病気やケガ全般のリスクに備えることはできないため、自身の健康状態や将来のリスクを考慮し、複数の保険を組み合わせて加入するなどの対策が必要です。

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免責期間が設定されている

多くのがん保険には、一定の期間保険金が支払われない「免責期間」が設けられているため、すぐに保険金を受け取ることはできません。免責期間は、保険契約締結前にすでにがんを発症していたり、告知せずに加入したりして、すぐに保険金を受け取ろうとする不正を防ぐために設定されています。

免責期間は、3ヶ月や90日間などの期間で設定されているのが一般的です。がん保険に加入したらすぐに保障が開始されるわけではなく、免責期間中にがんが発覚したら、経済的な備えがない状態なること理解しておきましょう。

保険料が負担になる

がん保険は、毎月または毎年保険料を支払う必要があり、家計に負担を与える可能性があり点には注意が必要です。とくに、若いうちから加入すると保障期間が長くなるため、生涯単位で考えると支払う総額は大きくなります

保険料の負担で家計が圧迫されることで、生活の質が低下したり、他のライフイベントのための資金に影響が出たりする可能性もあります。

保険料の支払いが滞れば保障を失うリスクもあるため、無理のない範囲で継続できるかを検討することが重要です。

がん治療にかかる費用

がん治療にかかる費用

がん治療の費用は、検査や手術、抗がん剤、放射線治療など、治療内容によって変動しますが、総額では数百万円に及ぶことも珍しくありません。とくに、高額な薬剤を使用する場合は、費用は膨らむ傾向にあります。

公的医療保険が適用することで、自己負担は原則1~3割に抑えられますが、自己負担額は月額で数万円から数十万円になることがあります

がん保険の費用に不安を感じる場合は、病院の医療相談室やがん相談支援センター、加入している健康保険組合などに相談し、利用可能な制度を最大限活用することが重要です。

正しい情報収集と制度利用で、効率的に経済的な負担を軽減しましょう。

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年齢別がん保険の必要性

年齢別がん保険の必要性

年齢とともにがんのリスクは高まるため、がん保険の必要性は年齢が上がるごとに必要性が増していきます。若年層からシニア層まで、それぞれのライフステージに応じたがん保険の選び方を知ることは、万が一の事態に備える上で重要です。

ここからは、年齢別のがんの必要性について詳しく解説します。

30代

30代は、仕事や結婚、子育てなど、責任が増していく世代です。この世代のがん罹患率は、40代以降と比べるとまだ低い傾向にありますが、乳がんや子宮頸がんなど、若い世代特有のがんのリスクも存在します。

がんが見つかった場合、収入減やキャリアの中断、子育てへの影響など、経済的・精神的な負担が重くのしかかります。

30代でがん保険を検討する場合は、手頃な保険料で保障が充実した商品を選ぶのがポイントです。とくに、診断一時金がしっかり出る商品は治療費だけでなく、生活費や休業中の生活費など、幅広い用途で活用できます。

40代

40代は、がん罹患率が上昇し始める時期であるため、がん保険の必要性が一段と高まります。多くのひとが仕事で中心的な役割を担い、住宅ローンや教育費など、経済的な責任が最も重くなる時期です。

もしこの時期にがんが発覚して、多額の治療費の支払いや長期の治療が発生すれば、家計や家族への影響は計り知れません。

そのため、40代のがん保険選びは、若年層より手厚い保障を検討する必要があります

診断給付金をしっかりと設定し、がんの再発や転移の際にも複数回受け取れる保障を選ぶと安心です。

また、万が一の際に治療の選択肢を広げるために、先進医療特約の加入も有効な選択肢です。40代は家族構成や現在の経済状況、将来のリスクなどをバランス良く見極めたうえで、自身に適したプランを選びましょう。

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50代

50代は、40代に比べてがんの罹患率がさらに高まる世代です。子育てが一段落して、老後資金の準備を本格的に始める時期でもありますが、がん治療にかかる高額な費用は、その資金計画に大きな影響を与える可能性があります。

そのため、50代のがん保険は、診断一時金や入院、手術の保障に加えて、放射線治療、抗がん剤治療など、現実的な治療に対応した特約を備えておくと安心です

ただし、この年代での加入は保険料が高額になってくるため、保障内容の充実度と保険料のバランスをしっかりと考えて検討する必要があります。

60代

60代は、がんの罹患率が最も高まる時期であり、がん保険の必要性がとくに高まる世代です。多くのひとが定年退職を迎え、年金生活や再雇用で働く期間となるため、現役時代のような高額な収入は見込みにくくなります。

このような経済状況で高額ながん治療費が発生すると、老後の生活設計や貯蓄に大きな影響を及ぼす可能性が高まります。

そのため、60代のがん保険選びでは、医療費の自己負担リスクを極力抑えることが重要です。診断一時金は、生活費や先進医療費など、年金だけでは賄いきれない費用をカバーするために有効です。また、抗がん剤治療や放射線治療など、通院での治療が増える傾向にあるため、退院後の長期的なサポートや緩和ケアなども検討しましょう。

残りの人生を安心して過ごすためにも、がん保険選びは自身に合ったものを慎重に選ぶことが重要です。

まとめ

がんは、日本人にとって身近な病気であり、治療には精神的・身体的負担に加え、経済的な負担が大きく伴います。公的医療保険制度である高額療養費制度が用意されているものの、先進医療のような全額自己負担となる治療や入院時のベッド代、治療のための交通費など、保険適用外の費用も少なくありません。

がん保険は、がんと診断された際に支払われる診断給付金を始め、入院や手術、抗がん剤・放射線治療への給付金、先進医療特約など、がんに特化した手厚い保障が用意されています。

がんの罹患リスクは年齢とともに高まるため、ライフステージに応じた保険選びが大切です。また、職業や家族、経済状況、ライフプランなども考慮して、自身に合った保障を備えることで、安心して治療に専念できる環境を整えられるでしょう。

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