カテゴリ:基礎知識
自動車の任意保険は必要?自賠責保険との違いや主な補償内容を解説

自動車の任意保険は、車を運転するうえで強制加入になる自賠責保険とは別に、加入の有無を自由に選択できる保険です。自賠責保険だけではカバーできない幅広いリスクに対応できるため、多くのドライバーが自賠責保険と共に加入しています。
また、損害保険料率算出機構が2025年4月に公表した「2024年度 自動車保険の概況」によると、自動車共済を含む自動車任意保険の加入率は88.7%と、9割近いひとが任意保険に加入しています。
本記事では、自動車の任意保険の主な補償内容や特約、実際の契約方法などについて詳しく解説します。任意保険の保険料を安く抑えるポイントについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
出典:損害保険料率算出機構「2024年度 自動車保険の概況」
目次
自動車の任意保険とは?

自動車の任意保険とは、自動車を運転するうえで発生する事故に備えるための、民間の保険会社や共済が提供している保険です。自動車保険の種類は主に2つあり、「任意保険」は加入するかどうかをドライバーが自由に選択できるのに対し、「自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)」は法律で加入が義務付けられています。
任意保険は各保険会社が多様なプランや特約を提供しており、運転頻度や車の種類、ライフスタイルに合わせて、自身に適した補償内容を選ぶことが可能です。
任意保険と自賠責保険との違い

自動車保険の任意保険と自賠責保険は、目的や補償範囲、加入義務の有無などが大きく異なります。
任意保険と自賠責保険との違いを以下の表にまとめました。
| 任意保険 | 自賠責保険 | |
|---|---|---|
| 加入義務 | 任意(高額な賠償責任の発生により実質的に必須) | 法律で加入が義務付けられている |
| 目的 | 自賠責保険で不足した補償 | 事故にあった被害者の救済 |
| 対象 | 事故の被害者、加害者、同乗者、自身の車両、相手方の車両 | 事故の被害者 |
| 補償範囲 | 対人・対物、搭乗者、車両など幅広い補償 | 相手方の人身事故のみ |
| 補償額 | 億以上、無制限など高額設定が可能 | 上限あり(傷害120万円など) |
任意保険は、自賠責保険で不足する補償を補い、幅広いリスクにも対応できるため、万が一の事故の際にドライバーやその家族、被害者の生活を守ってくれます。
一方、自賠責保険はあくまで被害者への最低限の補償に限定され、対物賠償や加害者自身のケガ、自分の車の損害は補償されません。
自賠責保険のみ加入が義務付けられていますが、多くのケースで高額な賠償責任が発生するため、任意保険の加入が強く推奨されます。
任意保険の主な補償内容

任意保険の大きなメリットとして、自賠責保険ではカバーできない幅広いリスクに対応できる点が挙げられます。事故の相手方への賠償から、自身のケガ、車の損害まで、状況に応じた補償を受けることが可能です。
ここからは、任意保険の主な補償内容について詳しく解説していきます。
対人賠償保険
対人賠償保険は、自動車事故によって他人にケガをさせてしまったり死傷させてしまった場合に、その賠償金を保険会社が支払う保険です。自賠責保険は補償額に上限があるのに対し、対人賠償保険は補償額を無制限に設定できます。
死亡事故や重度な後遺障害が残るような事故では、賠償額が数億円に達することも珍しくないため、対人賠償保険では無制限で加入することが強く推奨されます。
万が一、巨額の賠償責任を負ったとしても、自己破産など最悪の事態を避けられる、とくに重要な補償の一つです。
対物賠償保険
対物賠償保険は、自動車事故によって他人の車や住宅、電柱、ガードレールなど、物に損害を与えてしまい、その賠償金を保険会社が支払う保険です。自賠責保険は、物への損害は一切補償されないため、任意保険に加入することで物損事故のリスクを補填できます。
例えば、店舗に突っ込んで営業損害を発生させてしまったり、高級車に衝突してしまった場合、億単位の賠償額になることもあります。
対人賠償保険と同様に、高額な賠償を避ける目的で、補償額の無制限設定が強く推奨されている保険です。
人身傷害保険
自動車事故によって、自身や同乗者が死傷した場合に過失割合に関わらず、実際の損害額に対して補償されるのが人身傷害保険です。自賠責保険や相手からの賠償を待つことなく、あらかじめ設定した保険金額を上限として、保険会社が素早く保険金を支払ってくれます。
事故の相手が無保険であったり、賠償能力がなかったりする場合でも、自身や同乗者の損害が補償されるため、経済的な不安を大幅に軽減することが可能です。
また、自身の車に乗っている間だけでなく、契約車両以外に乗車中の事故や、歩行中の自動車事故などでも補償対象となるプランが多くあります。
搭乗者傷害保険
搭乗者傷害保険は、自身の自動車に搭乗中のひとが、自動車事故によって死傷した場合に保険金が支払われる保険です。搭乗者傷害保険の支払方法は、主に事故で負ったケガの部位や症状に応じて金額が支払われる「部位・症状別払い」と、ケガが完治するまでの通院日数や入院日数に応じて金額が支払われる「日数払い」に分けられます。
例えば、部位・症状別払いの場合、「脊髄損傷で100万円」「骨折で50万円」のようなかたちで保険金が支払われます。
人身傷害保険が、過失割合に関わらず実際の損害額を補償するのに対し、搭乗者傷害保険は定額で保険金が支払われるのが特徴です。
車両保険
自身の車が事故や災害などで損害を被った際に、修理費用や買い替え費用を補償してくれるのが車両保険です。車両保険には、補償範囲の広い「一般型」と、補償範囲を限定することで保険料を抑えた「エコノミー型」の主に2種類があります。
一般型は、自損事故や当て逃げなど、幅広いケースをカバーできますが、エコノミー型は、限定的な原因に絞って補償されます。
例えば、当て逃げされて犯人が不明な場合や落書きなどのいたずら、洪水、落雷といった自然災害など、幅広い損害に対応可能です。
とくに、新車を購入したばかりのひとや、高級車や希少車に乗っているひとは、車両保険を検討するのもよいでしょう。
任意保険の代表的な特約

任意保険の補償内容は、対人・対物賠償や人身傷害、車両保険など多岐にわたりますが、基本の補償にプラスして契約できるのが特約です。特約を活用することで、基本的な補償だけではカバーしきれない状況への備えを強化でき、より安心感のある保険内容にできます。
ここでは、多くの保険会社で提供されている代表的な特約について詳しく解説します。
無保険車傷害特約
無保険車傷害特約は、任意保険に加入していない車や、賠償能力がない相手との交通事故で、十分な損害賠償を受けられない場合に保険金額を補償してくれる特約です。被害者は、自賠責保険等で支払われる金額を差し引いた、本来受け取れる損害賠償額を保険会社から受け取れます。
ひき逃げや当て逃げなどで加害者が特定できないケースでも、無保険車傷害特約を適用できる場合があります。
人身傷害保険も同様に自身のケガを補償しますが、無保険車傷害特約はとくに「死亡」または「後遺障害」の重大な損害に特化しています。
ロードサービス特約
ロードサービス特約は、車両が事故や故障、トラブルによって走行できなくなった際に、さまざまなサポートを受けられるものです。多くの保険会社では、ロードサービス特約が自動的に付帯されているか、比較的安価な保険料で追加できます。
サポート内容は、バッテリー上がりやタイヤのパンク修理、キー閉じ込み時の開錠、車両のレッカーけん引などが代表的なものです。
レッカーけん引の距離は制限が設けられている場合もありますが、保険会社によっては無制限を設けている場合もあります。
よくJAF(日本自動車連盟)のロードサービスと混同されがちですが、自動車保険のロードサービスは車両に付帯されることが多く、JAFは人に付帯されるという違いがあります。
弁護士費用特約
自動車事故に遭い、相手方に損害賠償請求をする際に発生する弁護士費用や法律相談費用を負担してくれるのが、弁護士費用特約です。自身に過失がないもらい事故などでも弁護士に交渉を一任できるため、専門的な知識に基づいた適切な賠償額の請求ができます。
また、交渉を弁護士に任せることで、専門知識の不足からくる精神的な負担を大きく軽減できるのもメリットです。
多くの場合、契約車両以外でも自転車に乗っている時や歩行中の事故など、幅広く適用される点も魅力だといえます。
個人賠償責任特約
個人賠償責任特約は、自動車事故以外のさまざまなトラブルで他人に損害を与えて、賠償責任を負った際に補償が受けられる特約です。契約者本人だけでなく、配偶者や同居の親族なども補償対象になるケースがほとんどで、一家に一つ加入しておけば家族全員のリスクに備えられます。
賠償のケースは、子供が自転車で他人にぶつかってケガをさせてしまったり、買い物中に誤って商品を壊してしまったり、飼い犬が他人を噛んでしまったりといったものが挙げられます。
保険料は数百円程度と安価であるにもかかわらず、万が一の賠償リスクから高額な費用を補償してくれるため、自動車保険に加入する際は検討したい特約の一つです。
任意保険の保険料

任意保険の保険料は、単一の要素で決まるものではなく、さまざまな要因の組み合わせで算出されます。
主な要素としては、以下の内容などが挙げられます。
- 記名被保険者
- ノンフリート等級
- 免許証の色
- 自動車の型式
- 自動車の用途や種類
- 安全装置の有無
- 保険金額
- 自動車の所有台数
- 居住地域
- 年間走行距離
- 特約の有無
など
その中で、とくに重要なのが「ノンフリート等級」です。ノンフリート等級は、事故歴によって保険料が割引・割増される制度で、無事故が続けば等級が上がって保険料が安くなる一方で、事故を起こして保険を利用すると等級が下がり保険料が高くなります。
等級は1から20まであり、任意保険への加入がはじめての場合は、6等級から始まるのが一般的です。
保険料はこれらの組み合わせによって大きく変動するため、複数の保険会社の見積もりを取って比較検討することが、自身に合った保険選びに重要です。
任意保険の契約方法
任意保険の契約方法には、主に「代理店型」と「ダイレクト型」があり、それぞれの契約方法によって特徴が異なるため、自身の状況や重視する点に合わせて選ぶことが大切です。
以下の表に、それぞれの特徴についてまとめました。
| 代理店型 (保険代理店やディーラーと直接契約) |
ダイレクト型 (保険会社とインターネットや電話などで契約) |
|
|---|---|---|
| 主な特徴 | 保険のプロが対面もしくはオンラインで相談 | インターネットや電話で直接保険会社と契約 |
| 主なメリット |
・専門家による相談や提案が受けられる ・細かな設定が可能 ・事故時の手厚いサポートが受けられる |
・保険料が比較的安い ・24時間いつでも見積もり・契約が可能 ・手軽に複数社の保険料を比較できる |
| 主なデメリット |
・ダイレクト型より保険料が高くなる傾向がある ・店舗への来店が必要な場合がある |
・保険の知識がある程度必要になる ・対面でのきめ細やかな相談は難しい ・事故時の手続きを自身で行う必要がある |
| 向いているひと |
・保険選びに不安があるひと ・手厚いサポートを受けたいひと ・複数の保険会社を比較したいひと |
・保険料を抑えたいひと ・自分で情報収集ができるひと ・複数の保険会社を比較したいひと |
代理店型
代理店型の契約は、保険の専門家を通じて、対面またはオンラインで相談しながら保険に加入する方法です。保険会社の担当者が、顧客のライフスタイルや車の利用状況、家族構成などを丁寧にヒアリングし、適した保険プランを提案してくれます。
保険の仕組みや特約で疑問点があれば、その場で詳しく説明を受けられるため、保険の知識が少なくても安心して契約を進められます。
また、事故が発生した際は、保険会社への連絡や事故対応の状況などを代理店がサポートしてくれる場合が多く、精神的な負担を減らすことが可能です。
代理店手数料が保険料に含まれるため、保険料がやや高くなる傾向がありますが、手厚いサポートを重視するひとには適した契約方法です。
ダイレクト型
ダイレクトの契約は、インターネットや電話を通じて直接保険会社とやり取りし、保険に加入する方法です。24時間いつでもインターネット上で手続きを進められ、自身で手軽に比較検討できます。
また、店舗を持たないため、代理店手数料などのコストが削減されており、比較的安価に保険を利用できます。
一方、補償内容や特約の有無など、保険の知識がある程度必要になり、保険に関する情報を自分で調べて判断する能力が必要です。
保険料の安さを重視するひとや、インターネットでの手続きに抵抗がないひとに、有効な方法といえるでしょう。
任意保険の保険料を安く抑えるポイント

任意保険の保険料は、いくつかのポイントを押さえておくことで、費用を安く抑えられます。
保険料を安く終える方法には、主に以下の方法があります。
- ノンフリート等級を上げる
- 運転者の年齢条件を設定する
- 保険会社の割引制度を活用する
- 車両保険のタイプと免責金額を見直す
- 走行距離によって保険料が変わる商品を検討する
- 安全運転支援システム搭載車を選ぶ
- 複数の保険会社から見積もりを取る
- ダイレクト型保険を選ぶ
とくに効果的なのはノンフリート等級を上げることです。無事故を続けることで等級が上がり、保険料の割引率が大幅にアップします。
これらのポイントを押さえ、自身の状況に合わせた保険選びをすることで、賢く保険料を抑えられるでしょう。
まとめ

任意保険は、自動車を運転する上で発生するさまざまな事故に備えるために、民間企業が提供している保険です。自動車を運転するひとが強制加入する自賠責保険とは異なり、任意保険は加入をドライバーが自由に選択できます。
任意保険の補償内容には、他人をケガや死傷させた際に賠償金を支払ってくれる「対人賠償保険」や、物に損害を与えてしまった際に賠償金を支払ってくれる「対物賠償保険」などがあります。
また、基本の補償にプラスして契約できる特約を活用することで、通常の補償内容だけではカバーしきれない備えを強化することが可能です。
これから任意保険の加入を検討するひとは、補償内容や保険料、特約などを複数の保険会社で比較して、自身に合った保険選びをしてみてください。
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