カテゴリ:基礎知識
個人年金保険料控除はどんな制度?適用条件や控除できる金額を解説

老後の備えとして個人年金保険に加入しているひとは多くいますが、その保険料の税金を控除対象にできる制度が「個人年金保険料控除」です。支払った保険料に応じて、年間の所得税や住民税の負担を軽減できるので、より効率的に資産形成を進められます。
また、国税庁が調査した「民間給与実態統計調査(令和5年分)」に基づき、個人年金保険料控除を利用した人数の割合を算出したところ、制度の利用率は全体の13.8%に留まっており、まだ広く知られていない現状があります。
本記事では、個人年金保険料控除の新制度と旧制度の違いや控除できる金額、利用するための条件などについて詳しく解説します。実際に制度を活用した際の税額軽減シミュレーションについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
出典:国税庁「民間給与実態統計調査(令和5年分)」
目次
個人年金保険料控除とは?

個人年金保険料控除とは、支払った個人年金保険の掛け金が、所得から差し引かれる公的制度です。これにより、所得税や住民税といった税金の負担を軽くできます。
この制度を適用するには、生命保険料控除の適用要件を満たす特別な契約形態である「個人年金保険料税制適格特約」を、個人年金保険に付加しておく必要があります。
また、生命保険料控除には、
- 個人年金保険料控除
- 一般生命保険料控除(死亡保険や学資保険など)
- 介護医療保険料控除(医療保険やがん保険など)
の3種類のカテゴリに分類されます。
これらの控除は、それぞれ控除額の上限が設定されており、年末調整や確定申告を行うことで適用が可能です。
個人年金保険を活用することで、老後の資産形成をしながら税負担を軽減でき、将来の生活や老後への不安を軽減できます。
個人年金保険料控除の新制度と旧制度

個人年金保険料控除は、2012年1月1日を境に制度が新旧に分かれており、控除できる金額や控除の分類に差が生じています。
| 制度 | 所得税控除額 | 住民税控除額 | 契約日 |
|---|---|---|---|
| 旧制度 | 最大5万円 | 最大3.5万円 | 2011年12月31日まで |
| 新制度 | 最大4万円 | 最大2.8万円 | 2012年1月1日以降 |
参考:国税庁「No.1140 生命保険料控除」
旧制度の対象は、「一般生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」の2種類が基本的な制度になっており、医療保険やがん保険などに限り、一般生命保険料控除に含まれていました。
一方、新制度では「介護医療保険料控除」が独立した区分として追加され、全体で3つの控除枠が設けられています。
個人年金保険料控除を受けるための条件

まず前提として、契約が「個人年金保険料税制適格特約」の要件を満たしていることが不可欠です。この特約は、将来の公的年金に加えて、自助努力による老後資金の準備を国が税制面から支援することを目的としています。
その中で、個人年金保険料控除を受けるには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 年金の受取人が契約者本人または契約者の配偶者
- 保険料の払込期間が10年以上
- 年金の受取開始年齢が60歳以上かつ受取期間が10年以上
参考:国税庁「生命保険料控除の対象となる保険契約等」
第1に、年金受取人は契約者本人またはその配偶者でなければなりません。また、保険料の払込期間が10年以上に設定されていること、年金受取開始年齢が60歳以上かつ年金の受取期間が10年以上であることも求められます。
個人年金保険料控除で控除できる金額

前述のとおり、個人年金保険料控除で差し引ける金額は、旧制度と新制度で異なります。新制度が開始されてからは控除額の上限が引き下げられましたが、他の生命保険料控除と合算して適用できるため、全体の控除額が増える場合もあります。
ここからは、旧制度と新制度で控除できる金額について詳しく解説します。
新制度の場合
個人年金保険料控除の新制度における控除金額は、年間に支払った保険料を基準に決められます。
所得税の控除額
| 払込保険料 | 控除金額 |
|---|---|
| 2万円以下 | 支払保険料の全額 |
| 2万円超4万円以下 | 支払保険料 × 1/2 + 1万円 |
| 4万円超8万円以下 | 支払保険料 × 1/4 + 2万円 |
| 8万円超 | 一律4万円 |
住民税の控除額
| 払込保険料 | 控除金額 |
|---|---|
| 1.2万円以下 | 支払保険料の全額 |
| 1.2万円超3.2万円以下 | 支払保険料 × 1/2 + 6千円 |
| 3.2万円超5.6万円以下 | 支払保険料 × 1/4 + 1.4万円 |
| 5.6万円超 | 一律2.8万円 |
出典:国税庁「No.1140 生命保険料控除」
新制度では、所得税で最大4万円、住民税で最大2.8万円の控除が受けられます。これらの控除額は、一般生命保険料控除や介護医療保険料控除とは別に適用されます。
旧制度の場合
旧制度は2011年12月31日以前に締結された契約に適用され、控除金額は新制度よりも上限額が高く設定されています。
所得税の控除額
| 払込保険料 | 控除金額 |
|---|---|
| 2.5万円以下 | 支払保険料の全額 |
| 2.5万円超5万円以下 | 支払保険料 × 1/2 + 1.25万円 |
| 5万円超10万円以下 | 支払保険料 × 1/4 + 2.5万円 |
| 10万円超 | 一律5万円 |
住民税の控除額
| 払込保険料 | 控除金額 |
|---|---|
| 2万円以下 | 支払保険料の全額 |
| 2万円超4万円以下 | 支払保険料 × 1/2 + 1万円 |
| 4万円超7万円以下 | 支払保険料 × 1/4 + 2万円 |
| 7万円超 | 一律3.5万円 |
出典:国税庁「No.1140 生命保険料控除」
旧制度では、所得税で最大5万円、住民税で最大3.5万円の控除が受けられます。これらの控除額は、一般生命保険料控除や介護医療保険料控除とは別に適用されます。
新契約と旧契約の両方に加入している場合
旧制度と新制度のどちらも加入している場合、控除額を計算する方法は3通りあり、その中から自身に適した方法を選択できます。
- 旧制度の契約のみで計算
- 新制度の契約のみで計算
- 新旧両方の契約を合算して計算
一般的に、旧制度の控除額上限の方が高いため、旧制度の保険料で計算した方が控除額は大きくなります。ただし、旧制度の保険料が少ない場合や新制度の保険料が多い場合は、合算した方が有利になる場合もあります。
年末調整や確定申告の際には、それぞれの計算方法を比較して、最も控除額が大きくなる方法を選ぶことが重要です。
個人年金保険料控除を受けるための手続き
個人年金保険料控除を受けるための手続きは、年末調整や確定申告という方法で手続きを進めます。会社員や公務員は勤務先で、自営業者は自身で申告する必要があり、どちらも保険会社から送付される「生命保険料控除証明書」が必要不可欠です。
ここからは、個人年金保険料控除を受けるための手続きについて、年末調整、確定申告それぞれの場合を解説します。
会社員や公務員の場合(年末調整)
会社員や公務員が個人年金保険料控除を受ける場合は、勤務先での年末調整を利用するのが一般的です。まずは、保険会社から毎年10月頃に送付される「生命保険料控除証明書」を準備します。
次に、勤務先から発行される「給与所得者の保険料控除申告書」に、個人年金保険料の項目に必要事項を記入します。この書類は、年末調整で各種控除を受けるために必要なもので、保険会社名や年間の支払保険料額などの記載が必要です。
最後に、記入済みの申告書に控除証明書を添付して、指定された期日までに勤務先に提出しましょう。
自営業者などの場合(確定申告)
自営業者やフリーランスのひとが個人年金保険料控除を検討する場合は、自身で確定申告の手続きを進めなければなりません。まずは会社員と同じく、毎年10月頃に保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を準備します。
次に、確定申告期限である2月16日から3月15日までの期間中に、確定申告書を作成します。書類の作成方法は、
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用する
- 会計ソフトや確定申告ソフトを利用する
- 税務署で書類を入手し手書きで作成する
などの方法があります。
申告書が完成したら、控除証明書を添付して税務署へ提出します。また、e-Tax(電子申告)を利用すれば、書類の提出は不要です。
個人年金保険料控除における税額軽減シミュレーション

個人年金保険料控除を活用することで、年間支払額に応じた所得控除が適用され、所得税と住民税が軽減されます。個人年金保険料控除でどれくらい節税効果が期待できるか、具体的なケースを例に見てみましょう。
契約者の条件は、以下と仮定します。
- 年収500万円
- 所得控除: 150万円(給与所得控除、社会保険料控除など)
- 個人年金保険料: 年間8万円(新制度)
- 所得税率: 20%
- 住民税率: 10%
最後に、控除適用後の税額軽減効果を計算します。
所得税の軽減額
4万円 × 20%(所得税率) = 8,000円
住民税の軽減額
2.8万円 × 10%(住民税率) = 2,800円
所得税と住民税を合わせて、合計10,800円の税負担が軽減できます。
個人年金保険料控除を受ける際の注意点
個人年金保険料控除を活用する際は、事前にいくつかの重要な点に注意する必要があります。控除の適用条件の確認や必要な書類の準備、制度の新旧による控除額の違いまで、正確に理解しておくことが不可欠です。
ここからは、個人年金保険料控除を受ける際の注意点について詳しく解説します。
個人年金保険料税制適格特約を付加する
個人年金保険料控除の適用を受けるには、契約している個人年金保険に「個人年金保険料税制適格特約」が付加されていることが必須です。この特約がない場合、多額の保険料を支払っても、その保険料は個人年金保険料控除の対象にはなりません。
個人年金保険料税制適格特約の付加条件は、以下になります。
- 年金受取人:年金の受取人が契約者本人または契約者の配偶者
- 保険料の払込期間:保険料の払込期間が10年以上
- 年金受取開始年齢:年金の受取開始年齢が60歳以上かつ受取期間が10年以上
これらの条件を満たしていない場合は、その保険契約は個人年金保険料控除の対象にはならず、一般生命保険料控除の対象になる可能性があります。
保険契約を開始する際は、将来的に損をしないためにも、上記の条件をすべて満たしているか必ず確認しましょう。
生命保険料控除証明書を準備する
保険会社が発行する「生命保険料控除証明書」を発行することで、個人年金保険料控除がはじめて適用されます。この書類は、年末調整や確定申告の手続きにおいて、その年に払い込んだ保険料の総額を証明する重要な役割を果たします。
通常、毎年10月頃に契約者へ郵送されるため、書類が届いたら大切に保管しておきます。万が一紛失した際は、速やかに保険会社に連絡して再発行を依頼しましょう。
この証明書がないと、税務署や勤務先で控除申請を受け付けてもらえないため、取り扱いには十分な注意が必要です。
参考:国税庁「控除証明書等の電子的交付について」
契約者と年金受取人の関係に注意する
個人年金保険料控除を適用するには、
年金受取人と被保険者が同一人物かつ年金受取人は契約者本人あるいはその配偶者
でなければなりません。この条件が欠けている場合は、その契約は個人年金保険料控除の対象外になります。
例えば、自身が契約者で両親が被保険者として保険を契約したとしても、この控除は適用されません。
保険を契約する際は、身内の誰が契約者、被保険者、年金受取人になるのかを考慮し、個人年金保険料控除の適用条件を満たしているか入念に確認しましょう。
まとめ
個人年金保険料控除を活用することで、老後資金の準備をしながら年間の所得税や住民税などの税負担を軽減できます。適用を受けるには、「個人年金保険料税制適格特約」の要件を満たす必要があり、「年金受取人が契約者またはその配偶者であること」「保険料の払込期間が10年以上」などの条件達成が必須です。
また、個人年金保険料控除は、2012年1月1日を境に新旧二つの制度に分かれており、それぞれ控除額の上限や計算方法が異なります。
実際に控除を受けるには、会社員は年末調整、自営業者などは確定申告の際に、保険会社から発行される「生命保険料控除証明書」を提出する必要があります。
制度を利用する際は、控除の適用条件や必要書類を事前に確認し、確実に節税効果を得られるようにしましょう。
「保険ほっとライン」では、保険に関するお悩みごとを無料でご相談いただけます。将来に備えて保険の加入をご検討中の方は、ぜひお気軽にお問合わせください。
保険で困ったことがあれば、
何でもご相談ください
- 保険の相談実績20年で100万件以上
- 専門のスタッフが対応
最寄の保険ほっとラインの
店舗にて承ります。
お気軽にお問い合わせください。
ご予約はお客さまサービスセンターまで
0120-114-774
受付時間 10:00~19:00(土・日・祝もOK)
フリーワード検索
- 医療保険について
- 保険商品について
- 保険の種類
- 医療費の自己負担
- 医療保険の保障内容
- 介護保障保険について
- 個人年金保険と公的年金について
- 生命保険会社の個人年金について
- 公的年金保険について
- 火災保険・地震保険について
- がん保険について
- 自動車保険について
- 収入保障保険について
- 保険に関する豆知識
- 民間介護保険は本当に必要?必要性が高いひとや選ぶ際のポイントを解説
- 公的介護保険の加入はいつから?仕組みや民間介護保険との違いを解説
- 個人年金保険には加入するべき?公的年金保険との違いやメリットを解説
- 死亡保険金に税金はかかる?税金の種類やシミュレーションを紹介
- 学資保険は本当に必要?仕組みやメリット・デメリットを解説
- 賃貸に火災保険は必要?自分で加入する方法や主な補償内容を解説
- 自動車の任意保険は必要?自賠責保険との違いや主な補償内容を解説
- ファミリーバイク特約とは?バイク保険との違いや主な補償内容を解説
- 原付バイクに任意保険は必要?自賠責保険との違いや主な補償内容を解説
- がん保険は本当に必要?いらないといわれる理由や年代別の必要性を解説
- 養老保険はどんな保険?終身保険との違いやメリット・デメリットを解説
- ドル建て保険はやめるべき?円建て保険との違いや加入時の注意点を解説
- 掛け捨て型の生命保険はもったいない?貯蓄型との違いやメリットを解説
- 傷害保険の特徴は?医療保険との違いや選び方のポイントを解説
- 死亡保険はどんな保険?かかる税金や加入に適したタイミングを解説
- 傷病手当金がもらえないケースは?受給条件や申請方法を解説
- 個人年金保険料控除はどんな制度?適用条件や控除できる金額を解説
店舗を探す










