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養老保険はどんな保険?終身保険との違いやメリット・デメリットを解説

養老保険は、万一の備えと将来への貯蓄を両立できる生命保険です。保険期間中に万が一のことがあれば死亡保険金が支払われ、満期時には満期保険金を受け取れます。
決まった時期にまとまったお金が受け取れるため、子どもの教育費や老後の生活費など、明確な資金計画を持つひとには効率的な資産形成の手段です。
本記事では、養老保険の主な種類や終身保険との違い、加入のメリットなどについて詳しく解説します。養老保険を選ぶ際のポイントについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
養老保険とは

養老保険は、保障と貯蓄の2つの機能を兼ね備えた生命保険です。保険期間中に万が一のことがあった場合は、死亡保険金が支払われ、保険期間が満了した場合は満期保険金が受け取れます。
明確な貯蓄目標がある場合にとくに有効で、毎月または指定された期間内で保険料支払いが強制的な貯蓄になるため、計画的かつ確実に資産形成ができます。そのため、老後の生活資金や子どもの教育資金、住宅購入の頭金など、特定の資金のために利用されることが多い保険です。
保険期間は契約時に設定可能で、10年、20年などの「年満期」と、60歳、70歳などの「歳満期」の主に2種類のタイプがあります。保険期間が満期を迎えると保障は終了し、満期保険金が支払われます。
途中解約した場合も解約返戻金は受け取れますが、場合によってはそれまで支払った保険料よりも少ない金額しか戻ってこない「元本割れ」のリスクには注意が必要です。
養老保険の主な種類
養老保険は、運用方法や保険期間などによっていくつかのタイプに分けられます。基本的な定額型をはじめ、保険料の払い込みや保険金の受け取りを外貨で行う外貨建て養老保険などがあります。
ここからは、養老保険の主な種類について詳しく解説していきます。
定額型養老保険
定額型養老保険は、養老保険のなかで最も基本的なタイプです。この保険は、契約時に設定した保険期間中に、被保険者が亡くなったり所定の高度障害状態になったりした場合に支払われる死亡保険金と、保険期間を満了した際に受け取れる満期保険金の金額が、同額に設定されています。
例えば、「10年後に500万円貯めたい」という目標があるなら、10年満期で死亡保険金と満期保険金が500万円のプランを選びます。
毎月決まった保険料を支払うことで、着実に貯蓄ができるため、将来に向けて計画的に資金を準備したいひとにおすすめです。
外貨建て養老保険
外貨建ての養老保険は、保険料の払込みや保険金、解約返戻金の受け取りを日本円ではなく、ドルなどの外国通貨で行う保険です。外貨建て型の特徴として、為替レートによって保険金や解約返戻金の額が変動する点が挙げられます。
円安の状況下では受取額が増加する可能性がある一方で、円高の場合は受取額が減少するリスクも存在します。
また、国内通貨建ての保険に比べて予定利率が高めに設定されている傾向があり、高利率で運用できれば資産運用の一環として活用することも可能です。
養老保険と終身保険の違い

養老保険と終身保険は、どちらも死亡保障を備えた生命保険ですが、保障期間や満期時の取り扱いなどに大きな違いがあります。
養老保険と終身保険の主な違いについて、以下の表にまとめました。
| 養老保険 | 終身保険 | |
|---|---|---|
| 目的 | 一定期間内の死亡保障と貯蓄 | 一生涯の死亡保障と貯蓄、相続対策 |
| 保障期間 | 一定期間 | 一生涯 |
| 保険料 | 同じ保障なら終身保険より割高の傾向 | 同じ保障なら養老保険よりも割安傾向 |
| 満期保険金 | あり | なし |
| 死亡保障 | 保障期間中に死亡した場合に支払われる | 加入から死亡するまで一生涯保障される |
| 貯蓄性 | あり | あり |
| 解約返戻金 | あり | あり |
養老保険は、定められた期間内に死亡した場合の保障に加え、満期時に生存していればまとまった満期保険金を受け取れる貯蓄性の高さが特徴です。子どもの教育費や老後資金の準備など、将来的にまとまった資金を準備したいひとに向いています。
一方、終身保険は保障が一生涯続くため、万が一の際に遺族に死亡保険金を残したい場合に適した保険です。満期保険金はありませんが、同じ保障なら養老保険よりも割安な傾向にあり、解約時に解約返戻金を受け取れます。
どちらの保険が適しているかは、ライフプランや目的によって異なるため、保障期間や必要な保障額などを明確にして保険を選択することが重要です。
養老保険のメリット

養老保険は、万が一の保障と資産形成を両立できる点が大きな魅力です。保険期間中に死亡した場合は死亡保険金が支払われ、保険期間が満期を迎えた場合には、積み立てた保険料に応じて満期保険金を受け取れます。
ここからは、養老保険のメリットについて詳しく解説します。
貯蓄性があり計画的な資産形成ができる
養老保険は高い貯蓄性を備えているため、将来的にまとまった資金を受け取れます。一般的な貯金は積立額が上下しがちですが、養老保険は途中で解約しない限り確実に目標額を積み立てられる点が強みです。
例えば、子どもの大学進学費用として「10年後に500万円が必要」「老後の生活資金として80歳までに1,000万円準備したい」など、具体的なライフプランに合わせた資金計画を立てやすいのが特徴です。
また、保険会社が運用を行うため、銀行預金よりも高い予定利率になることも多く、効率的な資産形成が期待できます。
具体的な目標を立てやすく、計画的かつ着実に資産を形成したいと考えるひとにとって、とくに有効な保険といえるでしょう。
保障と貯蓄を両立できる
万が一の保障と、将来のための貯蓄の2つの目的を同時に叶えられるのも、養老保険の特徴です。契約期間中に被保険者が死亡または高度障害状態になった場合、家族の生活が困窮しないために、死亡保険金や高度障害保険金が支払われます。
それと同時に、保険期間が満了するまで生存していた場合は、それまでに払い込んだ保険料に応じて満期保険金を受け取ることが可能です。
養老保険は、生命保険ならではの万が一の保障と、預貯金のような貯蓄性を兼ね備えている、バランスの取れた保険といえます。
保険期間を設定できる
養老保険は保険期間を自由に設定できるため、自身のライフプランや将来の目標に合わせて、必要な期間のみ保障と貯蓄を確保することが可能です。保険期間を区切られていることで、どの期間でどれくらいの資金が必要か明確になり、計画的かつ効率的な資産形成ができます。
例えば、「子どもの独立に合わせて大学入学時までの18年間」「住宅ローンの完済を見据えて30年間」など、具体的な期間を設定可能です。
期間が明確なため、その間に万が一のことがあれば経済的に困窮せず、期間満了時に設定した目標額の満期保険金を受け取れる安心感があります。
解約返戻金を受け取れる
養老保険のメリットの一つに、保険期間の途中で契約を解約しても、解約返戻金を受け取れる点が挙げられます。養老保険は掛け捨て型の保険のように、支払った保険料が全く戻ってこないということが基本的にありません。
解約返戻金の金額は、加入期間や保険料の払込状況などによって異なりますが、長く契約を続けるほど、払い込んだ保険料に対して返戻率が高くなる傾向にあります。
ただし、契約後すぐに解約した場合は、払い込んだ保険料の総額よりも解約返戻金が少なくなる「元本割れ」の可能性がある点には注意が必要です。
養老保険のデメリット

養老保険は、万が一の保障と将来の資産形成を両立できる保険ですが、知っておくべきいくつかのデメリットも存在します。
ここからは、養老保険のデメリットについて解説します。
保険料が割高になりやすい
養老保険のデメリットの一つに、保険料が割高になりやすい点が挙げられます。死亡保障のみならず、満期時にまとまった保険金が受け取れる貯蓄性を兼ね備えているため、一般的な生命保険に比べて割高になりやすいのです。
とくに、保障額を高額に設定したり、保険期間を長くしたりすると、その分保険料の負担は大きくなります。
そのため、加入前には家計に無理のない範囲で、長期的に払い続けられる保険料であるかを慎重に検討することが重要です。
元本割れのリスクがある
養老保険を早期に解約してしまうと、払った保険料の総額に対して、受け取れる解約返戻金が下回る元本割れのリスクがあります。とくに、契約から数年以内の解約は、手数料や初期費用などが差し引かれるため、元本割れする可能性が高くなります。
また、市場金利の低下などによって予定利率が下がった場合も、満期保険金や解約返戻金が少なくなることもゼロではありません。
養老保険は、満期まで契約を継続することで最大限メリットを受けられるように設計されているので、長期的な視点で資金計画を立てることが重要です。
満期を迎えると保障が終了する
保険期間が満了すると、保障自体が終了してしまう点も、養老保険のデメリットの一つです。養老保険は、10年、60歳までなど、あらかじめ設定された一定期間のみ保障を提供するため、満期を迎えた瞬間に死亡保障が消滅します。
もし、満期時に引き続き死亡保障が必要な場合は、新たに別の保険に加入し直す必要があります。
養老保険を検討する際は、満期後の保障をどうするか、事前に計画しておくことが重要です。
養老保険にかかる税金

養老保険を活用して保険金を受け取った際は、税金が課せられます。主な税金として、満期保険金や死亡保険金を受け取る際の課税が挙げられます。
満期保険金にかかる税金
満期保険金を受け取る際は、契約者と保険金受取人の関係によって、課税される税金の種類が変わります。
- ●契約者と受取人が同一の場合
- 満期保険金は「一時所得」として、所得税と住民税の課税対象となります。受け取った保険金から払い込んだ保険料総額と特別控除額(最大50万円)を差し引いた金額に1/2を掛けたものが課税対象です。満期保険金を年金形式で受け取る場合は「雑所得」となります。
- ●契約者と受取人が異なる場合
- 満期保険金は「贈与」とみなされ、贈与税の課税対象となります。贈与税は税率が高く、税金が高額になりがちなため、契約者と受取人の設定には注意が必要です。
死亡保険金にかかる税金
保険期間中に被保険者が死亡し、死亡保険金を受け取る場合も、保険料負担者、被保険者、受取人の関係によって課税される税金の種類が異なります。
- ●契約者と被保険者が同一で受取人が相続人の場合
- 死亡保険金は「相続財産」とみなされ、相続税の課税対象となります。ただし、法定相続人1人あたり500万円の非課税枠が設けられています。
- ●契約者と受取人が同一の場合
- 死亡保険金は「一時所得」として所得税と住民税の課税対象となります。
- ●契約者、被保険者、受取人がすべて異なる場合
- 死亡保険金は「贈与」とみなされ、贈与税の課税対象となります。
また、養老保険の保険料は、所得税法で定められた「生命保険料控除」の対象となります。これは、1月1日から12月31日までに払い込んだ保険料に応じて、一定額が所得税と住民税の課税所得から控除される制度です。
控除を受けるためには、会社員は年末調整時に勤務先に「給与所得者の保険料控除申告書」と保険会社から送付される「生命保険料控除証明書」を提出します。自営業者や確定申告が必要なひとは、確定申告時に同様の手続きを行います。
この控除枠は、他の一般生命保険と合算して適用されるため、他の保険で控除枠を活用している場合は、節税効果が限定されることに注意が必要です。
養老保険がおすすめなひと

養老保険は、もしものときの保障を確保しつつ、将来に向けて確実にお金を貯めたいひとに適した保険です。
ここからは、養老保険がおすすめなひとの特徴について詳しく解説します。
計画的かつ確実に資産形成したいひと
養老保険は、満期時に確実に保険金が受け取れるため、計画的な資産形成を望むひとに適した保険です。銀行預金とは異なり、途中で引き出すハードルが高いため、つい使い込んでしまう心配がありません。
契約時に将来受け取れる満期保険金額がある程度決まっており、将来設計が立てやすいのもメリットです。
子どもの教育資金や老後の生活資金など、明確な目標があるひとにとっては、とくに心強い保険といえます。
貯蓄と保障をバランスよく備えたいひと
将来のための資金を貯めるだけでなく、万が一の保障も同時に得られるのが、養老保険の大きなメリットです。死亡や高度な障害など、もしものことがあった場合でも、家族に死亡保険金が支払われます。
例えば、定期保険は、保障は用意されていますが、満期時でも満期保険金や解約返戻金はありません。
とくに、まだ小さい子どもがいる家庭や、住宅ローンを抱えているひとなど、一家の大黒柱として経済的な不安を残したくないひとに適した保険です。
好きなタイミングで保険金を受け取りたいひと
養老保険は、一般的な終身保険とは異なり、あらかじめ設定した満期に確実に保険金を受け取れるのがメリットの一つです。必要なタイミング必要な額を受け取れるので、資金をほかの用途に使うことなく、効率的に活用しやすくなります。
子どもの大学入学時や自身の定年退職時など、将来まとまった資金が必要になる時期に合わせて満期を設定できます。
将来のライフイベントに合わせた資金計画を柔軟に立てられるのは、養老保険ならではの大きなメリットといえるでしょう。
養老保険を選ぶ際のポイント

養老保険の種類や保障内容は多岐にわたるため、自身のライフプランや目的に合わせて慎重に選ぶことが重要です。
ここからは、養老保険を選ぶ際のポイントについて詳しく解説します。
加入目的を明確にする
養老保険を検討するうえで重要なのは、なぜ養老保険に加入したいのか目的を明確にすることです。目的が明確になれば、それに合わせていつまでに、いくら貯めたいのか目標を決めやすくなります。
漠然と目標を考えるのではなく、「10年後に子どもの教育資金として500万円準備したい」「年金の不足分を補うために80歳で1,000万円を受け取りたい」など、具体的な目標設定が大切です。
目的が曖昧なまま加入すると、途中で後悔したり、ライフプランの変化に対応できなくなったりするので、家族構成や将来の計画を具体的にイメージしておきましょう。
保険期間と保険料払込期間を確認する
養老保険を選ぶ際は、保険期間と保険料払込期間を確認し、経済的な損失がないようにすることが大切です。保険期間とは、保障が継続して満期保険金が受け取れる期間のことで、保険料払込期間は保険料を支払う期間のことです。
2つの期間は必ず一致するわけではなく、「70歳で払い込みが終了して80歳で満期を迎える」などの設定も可能です。
期間の設定が適切でない場合、途中で保険料の支払いが困難になったり、必要な時に資金が受け取れなかったりする可能性があります。
無理のない保険料を設定する
養老保険は、長期にわたって保険料を支払い続けるため、家計に影響がない範囲で保険料を設定することが重要です。将来のために貯蓄や保障が必要だとしても、毎月の保険料が家計を圧迫する状況では、途中で支払いが困難になるリスクが高まります。
保険料が高すぎると、途中で解約せざるを得なくなり、元本割れしてしまう可能性もあります。
養老保険に加入する際は、一度家計簿を見直し、食費や住居費、教育費などを考慮したうえで、毎月無理なく継続して支払える金額を設定しましょう。
まとめ

養老保険は、死亡保障と貯蓄機能を兼ね備え、計画的な資産形成が実現できる生命保険です。特定の期間の保障と満期時の資金準備が目的で、教育資金や老後資金、住宅購入費用など、明確な貯蓄目標がある場合にとくに有効です。
終身保険とは異なり、保険期間が定められており、満期時には満期保険金が受け取れます。一方で、保険料が割高になりやすいことや早期解約による元本割れリスク、満期で保障が終了することなどがデメリットとして挙げられます。 自身に適した保険を選ぶには、加入目的を明確にし、保険期間と保険料払込期間の確認、無理のない保険料設定が大切です。
自身のライフスタイルと将来の目標に合ったプランを選ぶことで、養老保険のメリットを最大限に受けられ、確実に将来の備えができるでしょう。
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